作業療法士になるには?資格の内容や取得までの道のりを解説!

医療や福祉の現場で活躍する「リハビリ職」のひとつとして知られる作業療法士になるためには、資格は必要でしょうか?

また、その資格とはどのようなもので、どのような過程を経て取得することができるのか、またキャリアアップするための上位資格はどのようなものかについて解説します。

作業療法士への転職に資格は必要なのか?

鈴木

作業療法士の仕事に興味がありますが、転職するにあたって資格は必要でしょうか?

鈴木

作業療法士として患者にリハビリテーションを行うためには、「作業療法士」の国家資格取得が必須です。

作業療法士は、医療機関や福祉施設などで、医師の指示のもと、患者が社会復帰できるように心身機能の向上を目指したリハビリテーションを行います。「OT」という略称でも知られています。

この作業療法士になるためには、国家資格の取得が必須です。

作業療法士の資格は厚生労働省が管轄する国家資格で、「理学療法士及び作業療法士法」のもと、合格者は作業療法によるリハビリテーションのスペシャリストとして認定されます。

厳密に言えば、資格を持っていなくても作業療法を用いたリハビリテーション業務などに携わることはできますが、「作業療法士」の名称を使用することはできません。

また、実際問題として、そのような似通った業務への転職そのものも難しいでしょう。

作業療法では、患者や施設利用者の心身両面からリハビリテーションを行うため、転職の際は、高い専門性を有していることの証明(国家資格)が前提となることが多いからです。

そのため、「作業療法士として仕事がしたい」と考える場合、国家資格を取得する必要があります。

作業療法士の資格を取得するメリット

作業療法士は「名称独占資格」に区分される国家資格です。

作業療法士のほか、栄養士、保育士、保健師などがこの名称独占資格に該当します。資格を持つ人だけがその名称を名乗ることができます。

「理学療法士及び作業療法士法」第十七条では「作業療法士でない者は、作業療法士という名称又は職能療法士その他作業療法士にまぎらわしい名称を使用してはならない」(※1)と規定されており、違反すると処罰されます。

資格を持たない人が紛らわしい名称を使用することも禁じられているなど、名称独占資格は厳格なルールのもとで運用されている資格です。

※1 厚生労働省『理学療法士及び作業療法士法』

医師や看護師といった「業務独占資格」(資格を持つ人だけが独占的にその仕事を行うことができる)とは異なり、資格がなくても作業療法士と同等の仕事をすることはできます。

しかしその場合、決して「作業療法士」を名乗ることはできません。

そのため、作業療法士の国家資格を持っていると次のようなメリットがあります。

  • 社会的な信用度が上がる
  • 患者と信頼関係を築きやすくなる
  • 国家資格保有者として安定した待遇が望める

それぞれのメリットを詳しく見ていきましょう。

社会的な信用度が上がる

作業療法士は名称独占資格のため、国家資格を持っていなければ「作業療法士として患者にリハビリテーションを行う」ことはできません。

また、資格を持っていることで、患者にリハビリテーションを行うのに必要な知識や能力を備えていることを証明することが可能になります。

その結果、リハビリテーションの専門家として医師や看護師からの信頼を得ることができます。

また、作業療法士は国家資格として知名度が比較的高いため、社会的な信用度が高まることも多くなるでしょう。

患者と信頼関係を築きやすくなる

有資格者であるという安心感により、心身の不調を抱える患者が心を開いてくれることもあります。

たとえば、障害により日常生活に支障をきたし、で大きな不安を抱える患者にとって、「私は作業療法士です」と名乗れるリハビリテーションの専門家が寄り添ってくれるのは、非常に心強いことでしょう。

リハビリテーションが良い効果を生むためには、こうした安心感や信頼感が重要な役割を果たします。

このように、国家資格を持っていることが患者との信頼関係を築く一助となる可能性も高いため、実際に仕事を進めるうえで大きなメリットがあります。

国家資格保有者としての安定した待遇が望める

作業療法士は国家資格のため、合格者は一定のスキルや知識を有していることが国によって保証されることになります。

それに伴い、どこの職場であっても、給与などの待遇が一定の水準で保たれる場合が多くなります。

そのため、作業療法士の国家資格を持っていれば、転職しても安定した待遇を維持できる可能性が高いと言えます。

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作業療法士の資格取得までの道のりは?

鈴木

では、作業療法士の国家資格を取得するためには、どのようなステップを踏めばよいのでしょうか?何か学校に通う必要はありますか?

鈴木

作業療法士は厚生労働省管轄の国家資格のため、法律によって受験資格が規定されています。この規定により、養成校で3年以上の専門課程を修めたうえで国家資格を受験、合格する必要があります。
作業療法士になるためには「理学療法士及び作業療法士法」に基づき、国家試験に合格する必要があります。

この法律により、国家試験の受験資格として「作業療法士養成校を卒業している(または卒業見込みである)」ことが必須要件となります。

独学や通信教育のみでは国家試験受験資格要件を満たさないことに注意する必要があります。

ここでは、資格取得までの道のりについて解説します。

養成校で必要な課程を修める

「理学療法士及び作業療法士法」において、作業療法士の国家試験の受験資格として、以下の3つが規定されています。(2020年10月28日現在 ※2)

  • 文部科学大臣が指定した学校、都道府県知事が指定した養成校で、3年以上作業療法士としての知識や技術を学び修業した者
  • 大学の作業療法士養成課程において4年間修業した者
  • 外国の相当する学校、養成校を卒業、または免許を所持し厚生労働大臣の認定を受けた者

そのため、高等学校卒業後以降に、指定の養成校で3年以上の専門過程を修める必要があります。

これらの養成校を卒業、または卒業見込みとなることで初めて、国家試験の受験資格が得られます。

※2 厚生労働省 作業療法士 受験資格について

国家試験に合格する

養成校での課程修了後、「作業療法士」の国家資格試験に合格する必要があります。

試験内容は、筆記試験と口述試験および実技試験です。

筆記試験は「解剖学」や「生理学」を初めとする一般問題と、「運動学」「臨床心理学」などからなる実地問題に分かれます。

作業療法に関するひととおりの知識だけでなく、実践的な知識も問われるなど、リハビリテーションを行うために必要な知識を網羅するための試験となっています。

厚生労働省の発表データによると、2020年2月に実施された作業療法士国家試験の合格者数は約5500名、合格率は87.3%(※3)となっています。

専門課程修了を前提としていることもあって、難易度は比較的高くはないと言えるでしょう。

※3 厚生労働省 『第55回理学療法士国家試験及び第55回作業療法士国家試験の合格発表について』

養成校の選び方

鈴木

国家試験を受験するには、養成校での課程を修めなければならないのですね。では、大学と専門学校、どちらを選ぶのがよいのでしょうか?

鈴木

大学や短期大学と、専門学校では教育の目的やカリキュラムが少し異なります。「どのような作業療法士になりたいか」を考えたうえで養成校選びをする必要があります。

作業療法士の国家試験を受験するためには、文部科学大臣または厚生労働大臣が指定した養成校(4年制大学・3年制短期大学・3~4年の専門学校)において、3年以上学ばなくてはなりません。

養成校にはそれぞれ特色があるため、「どのような作業療法士になりたいか」「資格取得までにかけられる時間」を考えた養成校選びをする必要があります。

臨床の現場での実習時間は、3年制と4年制とで大きな差はありません。

じっくり時間をかけて学びを深めたいなら大学または短期大学、最短での資格取得や専門性の獲得を重視するなら3年制の専門学校(夜間の場合は4年制)を選ぶのが良いでしょう。

ここでは、「大学または短期大学」「専門学校」の区分で、養成校選びについて解説します。

大学または短期大学

大学(4年)または短期大学(3年)にて、専門課程を修了します。

大学は学問の発展を主目的とする教育機関であることから、語学や一般教養などの学問的要素を含めた総合的な課程が用意されていることが多くなっています。

広い視野でトータルな学びを得たい場合に適していると言えるでしょう。

作業療法士の仕事は、人との関わりをうまく持てることも重要な資質となるため、こうした総合的な学習から人間力を育てることも重要です。

大学の場合、卒業すれば学士の学位が与えられ、大学院でより高度な課程を修めることも可能になります。

作業療法士の資格取得後、学術的で高度な専門性を身に着けたいと思う場合は、大学を選択肢のひとつとするとよいでしょう。

また、大学や短期大学では、入学に際しては入試による選抜が行われることが多く、その形式もさまざまです。

校風や入試についてしっかりリサーチしてから入学する必要があります。

専門学校

専門学校にて、3~4年の専門課程を修めます。

昼間部だけでなく、夜間部が開設されている専門学校も多いため、働きながらの資格取得も目指せます。

大学・短期大学は語学や一般教養も課程に含まれることが多いのに対し、専門学校は資格取得後に即戦力として活躍するための知識とスキル修得に特化していることが多くなっています。

専門学校では、授業の大半が専門科目で構成されており、大学や短期大学よりも実践的な教育を受けることができます。

そのため、現場で即戦力として活躍できる作業療法士を最短期間で目指す場合にも適しています。

さらに、4年制の専門学校において文部科学省の指定する要件を満たす課程を修了した場合には、「高度専門士」の学位が与えられ、大学院への進学が可能になります。

実践的で高度な専門性を身に着けたいと思う場合には、このような4年制の専門学校を選択肢とするとよいでしょう。

作業療法士がキャリアアップするための資格

鈴木

では、作業療法士になった後、さらにキャリアアップを希望する場合には、どのような資格を取ればよいのでしょうか?

鈴木

作業療法士の上位資格である「認定作業療法士」「専門作業療法士」の2資格の取得を目指したり、作業療法リハビリテーションを取り巻く周辺職種に関する資格を取得することで、キャリアアップが望めます。

作業療法士の知識・技術の更新と、社会的地位の向上を目指して設立された団体に、日本作業療法士協会があります。

この日本作業療法士協会によって、以下の2つの認定資格制度が設けられています。

  • 認定作業療法士
  • 専門作業療法士

どちらも実務経験と高度な専門性が要求される上位資格です。

国家資格取得後も作業療法士が専門性を高め、キャリアアップするための資格と言えるでしょう。

さらに、作業療法リハビリテーションを取り巻くさまざまな要素に着目し、周辺職種の資格を取得する方法もあります。

これらの資格を取得することで、作業療法のスペシャリストとして、より実践的で高度なリハビリテーションが行えるようになります。

それぞれの資格について見ていきましょう。

認定作業療法士

日本作業療法士協会に入会後5年の実務経験を必要とする、作業療法士の上位資格です。

合格することで「作業療法の臨床実践、教育、研究及び管理運営に関して、一定水準以上の能力を有する」ことが証明されます。

認定作業療法士になるためには、次の4つの能力が「一定以上の水準である」ことを協会に認定してもらう必要があります。

  • 臨床実践能力
  • 教育能力
  • 研究能力
  • 管理運営能力

認定作業療法士の資格を取得することで、作業療法士としてのスキルアップだけでなく、後輩への指導力や業務管理能力も認められるため、キャリアアップに大きなメリットとなります。

5年以上の実務経験に加え、日本作業療法士協会による生涯学習プログラムの「基礎研修」を修了した人が認定を受けることができます。

参考:https://www.jaot.or.jp/continuing_education/

専門作業療法士

認定作業療法士よりも上位の資格で、特定の専門分野において「高度かつ専門的な作業療法実践能力」を持っていると協会が認めた資格のことです。

専門科目は10に及び、専門分野ごとに定められたカリキュラムを修了したうえで認定試験に合格する必要があります。

専門分野は次の通りです。

  • 福祉用具分野
  • 認知症分野
  • 手外科分野
  • 特別支援教育分野
  • 高次脳機能障害分野
  • 精神科急性期分野
  • 摂食嚥下分野
  • 訪問分野
  • がん分野
  • 就労支援分野

これらの分野のうち、どれを専門とするかを定めた後、「研修実践」「臨床実践」「研究実践」「教育と社会貢献の実践」の4つの実践的要件を満たしているかどうかについて、協会による書類審査を受けます。

書類審査を通過後、認定試験に合格するというのが資格取得の流れです。

認定作業療法士の資格を取得していることが前提の資格であり、作業療法士としての価値を高める資格のひとつです。

参考:https://www.jaot.or.jp/continuing_education/

その他の関連資格

介護支援専門員(ケアマネージャー)、福祉住環境コーディネーターなど、作業療法士の仕事に関連する他業種の資格を取得することによって、総合的なリハビリテーションの質の向上を追求することができます。

作業療法士のキャリアアップに役立つ関連資格には、次のようなものがあります。

  • 介護支援専門員(ケアマネージャー)
  • 福祉住環境コーディネーター
  • 呼吸療法認定士
  • 心臓リハビリ指導士

呼吸療法認定士と心臓リハビリ指導士では、作業療法士の免許や実務経験が受験資格となっており、これまでのキャリアを活かして受験できるというメリットもあります。

自分の専門分野やキャリアビジョンに照らし合わせて、どの資格でキャリアアップを狙うのかを考えるとよいでしょう。

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ケアマネジャー(介護支援専門員)とは?受験資格や試験内容・合格率について紹介

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まとめ

ここまで、作業療法士になるための資格とその取得方法について解説してきました。

「作業療法士」として仕事をするためには、名称独占資格である作業療法士の国家資格取得が必須です。

さらにキャリアアップを望む場合には、上位資格や関連資格の取得を考えるとよいでしょう。

キャリアビジョンやなりたい作業療法士のイメージなどを勘案し、最適なルートでの資格取得を目指しましょう。