多くの企業に存在する営業という職種。
企業によって扱う商材はさまざまですが、一般的に「商材を売り込む人=営業」というイメージが強いのではないでしょうか。
しかし、営業という仕事の中身には幅があり、「営業とは何か」を一言で語るのは難しいものです。
ここでは、営業の仕事内容や仕事の種類、求められるスキルなどを詳しく解説します。
目次
営業の仕事とは?
鈴木
鈴木
営業の仕事は「顧客が持つ課題を発見すること」「商材を紹介し、アピールする」「契約取りつけとアフターサービス」という、3つのプロセスから成り立っています。
一般的に「営業=商材を売る人」というイメージがありますが、その仕事内容は大きく3つのプロセスに分けられます。
- 課題を発見する
- 商材を紹介・アピールする
- 商材販売契約の取りつけとアフターサービスを行う
それぞれ詳しく解説します。
課題を発見する
顧客の抱える課題を洗い出し、その課題を解決に導く商材を選定します。
多様化する顧客のニーズに適した商材を選ぶこと、顧客とのコミュニケーションの中から課題発見のヒントをつかむことが必要です。
インターネットなど、顧客自身が「欲しいもの」を探す手段が豊富にある現在、顧客が持つ課題をいかにすくい上げるかが重要になってきています。
商材を紹介・アピールする
顧客が課題の解決に向けて自社の商材を購入してくれるよう、商材の魅力やサービスを紹介します。
比較できる商材が他にある場合は、自社の商材が価格や内容の面で他社よりも優れていることをアピールする必要があります。
自社の商材だけでなく、競合他社の商材についても熟知しておく必要があるため、業界によっては深い専門知識が必要となります。
商材販売契約の取りつけとアフターサービスを行う
自社と顧客の取引の窓口として、商材販売契約を取りつけます。
販売後は、自社内の他部署とも連携し、顧客が商材をよりよく使えるようサポートします。
こうしたアフターサービスは、自社の評判を高めたり、商材の販売数を増加したりするなどの大きな影響を持っています。契約を締結し、販売した後も営業の仕事は続くのです。
営業の仕事の種類
営業といっても、その仕事の種類はさまざまです。
営業の仕事は、対象とする顧客(法人・個人)や手法の違いによって、大きく6つに分けられます。
- 法人営業
- 個人営業
- 既存営業
- 新規開拓営業
- 内勤営業
- 反響営業
法人営業
企業を対象として、営業を行う仕事です。商材のスケールによっては、経営者層への営業活動を行うこともあります。
課題発見力や提案力のほか、基本的なビジネスマナーが求められますが、契約につながると利益規模が大きくなる場合もあります。
そのため、継続的に取引ができると自社の安定した収益につながります。
個人営業
個人消費者をターゲットとし、金融や車、不動産など生活に直接関係する商品を取り扱うのが一般的です。
個人営業においては契約の判断をする個人(=顧客)を相手として信頼関係を築き、販売につなげるのが主な仕事内容です。
そのため、高いコミュニケーションスキルや人柄の良さといった、営業マン本人の資質が武器になることもあります。
既存営業
ルートセールスとも呼ばれる仕事です。
既に取引がある顧客に対して、商材販売後のアフターサービスをしたり、さらなる課題を深掘りすることで新たな契約に繋げようとしたりと、ビジネスチャンスを広げるための営業活動がメインになります。
新規顧客を紹介してもらえる可能性もあるため、顧客と良好な関係を維持することが重要です。
新規開拓営業
まだ取引のない企業に対して電話や訪問、メールといった方法でアプローチし、新規顧客を獲得する仕事です。
飛び込み営業は敬遠されがちですが、新人営業マンが経験値を上げるために行うことも多い仕事です。
そのほか、問い合わせがあった先を訪問し、新規顧客獲得に繋げることもあります。
内勤営業
企業を訪問するのではなく、電話やメール、Web会議システムなどを使って営業を行う仕事です。
テレアポ営業、テレコール営業、インサイドセールスに細分化されます。相手の顔を見ずに行う営業活動がメインとなります。
テレアポ営業の場合は、訪問担当者が顧客と会う約束を取りつけることが目的のため、売り込みをすることはまれです。
反響営業
インターネット、電話やメールといったツールを使って問い合わせをしてきた人を見込み客と見なし、営業活動をする仕事です。
新規開拓営業の一種とされることもあります。
広告企画と問い合わせ対応という、2つの仕掛けがうまくはまるよう企画することが重要になります。
既に商材に対して興味や関心を抱いている人を対象とするため、成果が出やすいとされています。
営業の仕事に必要なスキル
鈴木
鈴木
そのため、ヒアリング力や課題発見力に加えて、好感度の高さも重要な要素となります。
課題発見からアフターサービスに至るまで、営業の仕事は、人を相手として進めるのが基本です。
そのため、次のスキルが必要になります。
- ヒアリング力
- 課題発見力
- コミュニケーション能力
- 相手に好印象を与える姿勢
ヒアリング力
顧客の話をしっかりと聞き、顧客の現状やニーズを把握することは、営業としての仕事のベースとなります。
課題発見も商材の販売も、顧客の話をヒアリングすることから始まります。
また、ヒアリング力に加えて、顧客の話を誘導し、課題発見の糸口を見つけるためのトークに持ち込む力も要求されます。
課題発見力
ヒアリングによって集めた情報を分析し、顧客が抱える課題をすくい上げることが重要です。
いかに本質的な課題を見つけ、それを自社商材でいかに解決するかを考えることが、営業成績を上げることに繋がります。
情報収集力や分析能力、記憶力の良さなど、さまざまな能力を総合的に発揮する必要があります。
コミュニケーション能力
ヒアリングからアフターサービスまで、営業の仕事は対人が基本であり、顧客とのコミュニケーションの連続です。
相手に好印象を与えることはもちろん、会話の中から課題を拾い上げたり、営業のきっかけとなる世間話を難なくこなしたりと、コミュニケーション能力は必須です。
逆に言えば、対人関係が苦手な人や、ストレス耐性の低い人は向いていないと言えるでしょう。
相手に好印象を与える姿勢
スキルではありませんが、営業の仕事をするにあたっては相手に好感を持ってもらうことが非常に重要なため、身だしなみや話し方、ビジネスマナーに気を配れることが必要です。
清潔感を重視した服装や、相手に信頼感を与える話し方を心がける姿勢が欠かせません。
身なり、話し方などの印象について、営業職として適当かどうか自分では分からない場合は、周囲の人に意見を求めてみても良いでしょう。
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営業の仕事におけるやりがいと辛さ
鈴木
鈴木
それでは、営業の仕事のやりがいとは何でしょうか?
大きくは3つに分けることができます。
また、やりがいがある反面、辛さもあるのが営業の仕事。その苦労も同時に見ていきましょう。
顧客に直接関わることができる
営業の仕事では、顧客の課題発見から契約後のアフターサービスまでを担当するため、自分の仕事が顧客に貢献していることを実感できる機会が多くなります。
自分の販売した商材が顧客の役に立つ喜びは大きなやりがいに繋がります。顧客から感謝されるときにやりがいを感じる人も多いようです。
しかし、顧客の役に立っていると感じにくい場合や、商材がなかなか顧客の課題解決に繋がらない場合、それがストレスとなったり、無力感を生んだりすることもあります。
コミュニケーション能力を高められる
営業というと、おしゃべりが上手な人が向いていると思われがちですが、実はそれだけでは務まらないことが多いものです。
自分の提案を押しつけるのではなく、顧客の話の中から課題発見のカギを拾い上げるには、高いコミュニケーション能力が要求されます。
こうしたスキルが鍛えられることもやりがいのひとつです。
その反面、まだコミュニケーションに自信のない段階では苦労がつきものであり、営業先でうまく立ち回れなかった時には大きなストレスを抱えてしまうことも少なくありません。
成績が数値化され、評価や給与に反映される
営業の仕事は、成績が売上という明確な数値で出ることが多いため、それが社内での評価につながりやすいのが特徴です。
評価されれば昇給や昇進にもつながりますし、インセンティブ制度が導入されている場合は、営業成績がより直接的に給与につながり、やりがいを生みます。
しかし、この「数値化される」という面がつらいということもあります。
ノルマや目標値がプレッシャーとなり、ストレスを生むこともあります。こうしたプレッシャーやストレスに弱く、心身の健康を維持することができない人には向かない職種であると言えます。
営業の仕事の年収は?
マイナビが2007年~2013年の会員データより統計的に算出した数字によると、営業職全般の平均年収は418万円。業種別に見ると以下の通りとなっています(※1)。
- 医薬品営業(MR・MS・その他):489万円
- 海外営業:507万円
- 金融営業:441万円
- 営業(不動産業界):431万円
- 営業(ソフトウェア業界):462万円
- 営業(広告業界):397万円
- 営業(総合商社・専門商社):411万円
MRなどの医薬品営業と海外営業の業種において、平均年収が高くなっています。
海外営業の場合、取引する商材のスケールが大きいこと、語学力をはじめとした幅広い知識と専門性が必要となることが多く、報酬が高く設定されることが一因と考えられます。
医薬品営業も平均年収は高めですが、はっきりとした要因が分かっているわけではありません。
ただ、医療に関する高度な専門性が必要となるため、人材の定着を図り、そのレベルを保つために一定以上の報酬が出ている可能性があります。
その他の業種においては、平均額が出ているものの、年代による給与の個人差が大きく、キャリアやスキル、給与形態が関係します。
たとえば、業種によっては基本給よりも歩合報酬やボーナスの比率が大きいこともあります。
自分が働きたい業界ではどのような給与形態が一般的なのか、事前に調べることが必要です。
※1:マイナビ転職 『平均年収レポート&モデル年収ランキング(調査期間/2007年4月1日 ~ 2013年6月30日)』
営業の仕事をするための方法
鈴木
鈴木
自分に合ったスタイルで仕事をするためには、業界や仕事内容、働きたい企業を明確にしたうえで転職活動をすることが重要です。
営業職になるには資格は必要ありません。
そのため、なりたいと思ったら自分の志望する業界や企業を絞り、応募することで営業の仕事に就くことができます。
一般的に、未経験でもチャレンジしやすい職種であると言われています。
ただ、営業の仕事は選択肢の幅が広いだけに、自分がどのような仕事をしたいのかを明確にしておくことが重要です。
具体的には、次のようなステップを踏むとよいでしょう。
働く業界を決める
営業の仕事は、業界によって大きく変わります。
豊富な専門知識が要求されることもあるため、どの業界で営業としてやっていくかを決める必要があります。
自分の扱いたい商材は何か、どのようなスタイルの営業をしたいのか、を考えて、それが可能な業界を選びます。
業界特有のマナーや風土が自分に合っているかも検討しましょう。
やりたい仕事を考える
業界を決めたあとは、その中でどのような仕事をしたいのかを考えます。
たとえば、医薬品の営業がしたいのか、海外営業がしたいのかによって、その後の企業選びは大きく変わります。
自分に向いているのは法人営業か個人営業か、既存営業か新規開拓営業かなど、具体的に仕事内容を想定して検討してみましょう。
企業選びをする
業界とやりたい仕事を決めたら、あとはどの企業で働きたいかを決めます。
企業によって社風や営業方針も異なるため、入社後にミスマッチが起こらないよう、自分に合った企業を選ぶことが大切です。
給与面も大切な考慮材料になります。
営業に転職するなら転職エージェントがおすすめ
営業職への転職を目指すなら、営業職に強い以下のような転職エージェントの利用を検討してみてはいかがでしょうか。
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まとめ
ここまで、営業の仕事を見てきました。
一口に営業といっても、そのプロセスや仕事の種類がたくさんあります。
やりがいとともに辛さもある営業の仕事ですが、適性のある人には挑戦する価値のある仕事です。自分のキャリアの方向性やスキルを踏まえて、適した営業の仕事を選びましょう。